発売日 2023年10月20日
定価◎本体2000円+税
356ページ A5判
ISBN-13 : 979-8876568779
本商品はAmazon 限定ペーパーバック販売です。一般書店では販売しておりません。
発行元 道義出版
発売元 道着出版
道義出版
TEL 03-6454-0928 FAX03-6454-0982
「稽古は一生涯」
師範大島劼―空手指導者、リーダー、修練者
前駐日イスラエル全権大使(2004‐2007)
松濤館大島道場五段―エリ・エリヤフ・コーエン著
はじめに
これまで大島先生のもとで四十年以上に渡って稽古に励み、すでに五冊の日本語の本を出版した私は、そろそろ先生についての本を書く許可を得るタイミングが訪れたと考えるに至りました。
実は、この本を書くことははじめから私のアイデアだったわけではありません。空手の稽古や日常会話のなかで、何かといえば大島先生の言葉を引用して話しはじめる私に対しある門弟が、なぜそれを本まとめないのかと指摘したことがきっかけでした。確かに、大島先生の考え方や人生哲学、そして一代で伝説となった生涯について知りたい人は世界中にたくさんいるはずですから、それは理にかなっています。
そこで数年前、大島先生に、私たちの会話をまとめた本を書きたいという私のアイデアに同意していただけるかどうか尋ねたところ、ご承諾いただき取りかかったのが本書です。
大島先生の住むカリフォルニア州サンタバーバラの本部道場に、本書のために二度度目に訪れたとき、私の中にある確信が生まれました。二週間にわたって先生と語り合い、稽古を交えるうちに、先生の哲学や生き方を紹介するには、あまりにも興味深い先生のライフストーリーをそのまま世に伝えることが一番だと思ったのです。私は、シンプルかつ繊細でエキサイティングなひとつひとつの物語が、先生の教えや哲学、生き方についての情報を伝える最良の方法だと信じています。そして幸いなことに、この方法がベストであると、先生を説得することに成功しました。
この本を読むと、大島先生の言葉を直接引用しているところもありますが、ほとんどの場合、説明や考え方は引用符なしで書かれています。それは、すべて先生から直接聞くか、先生と体験を共にした人たちの証言です。これらの言葉は、世界中で道場の内外を問わず、さまざまな機会、さまざまな状況での体験にもとづいています。
より具体的に言えば、本書に書かれていることは、すべて大島劼師範の考え方と教えにもとづいていることをここに明言しておきます。先生の表現そのままの場合もありますが、過去六十年間に渡り先生が伝えてきた教えへの理解にもとづいて書き表した文章もあるということです。
とは言え、他の人たちの想いとか、著者である私自身の主題や談話などに関するコメントが、時折、註釈のかたちで本文に挿入されていることがあります。
また本書は、時系列に沿って書き進められてはおりません。ですが最後まで通読することで、そこに描かれた人生の歴史から、偉大な空手家であり指導者、そしてひとりの修行者としての大島劼師範の生涯の全体像が浮かび上がることを期待します。本書の巻末には、先生の人生において重要な節目となった出来事を記した年表を掲載することにしました。目を通していただければ、今日までの先生の道のりをよりはっきりととらえることができるかも知れません。
エリ・エリヤフ・コーエン
目次
- 時間について
- 時間の感覚
- 人の年齢
- 第二次世界大戦前、戦中、戦後
- 少年期
- 戦時下で―少年時代の「ラブ・ストーリー」
- 戦中・戦後の青春時代―一生に一度の経験
- 第二次大戦後―空手以外は禁じられた武道
- リーダーシップと勇気
- 早稲田大学空手部主将
- 早大空手部の「合宿」
- 先輩・後輩の関係
- 稽古の一環として「試合空手」を考案
- 「柔らかさ」は「強さ」
- 新たな冒険―新しい人生
- 「極め」、「見切り」、「下意識」、「入り身」、「武道精神」、「超常現象」
- 「極め」の四つの門
- 極めと実践の攻撃、事前の見切り、入り身について
- 極め、丹田と潜在意識
- 武道精神
- 第六感と超常現象
- 世界の松濤館大島道場―SKA、FSK、SOD
- 「結」―米国松濤館(SKA)五十周年記念行事―温故知新
- 米国での出発点―第一ラウンド
- フランスでの第一・第二ラウンド
- 信頼への裏切りと修復―アメリカでの第二ラウンド
- 世界の松濤館大島道場
- 国際イベントとSODネットワーク
- 道中に素晴らしき人々あり